Sponsored Link
本日も前回に引き続き、日本語ヒップホップのBEEFについてです。
前回ではDragon Ashの降谷建志さんとZEEBRAのBEEFでしたが、その手法は昔ながらのCD音源によるものでした。
しかし本日紹介するBEEFは違います。
おそらく日本で初めてインターネットを使って公開した音源でやり取りしたBEEFだったと思います。
そう、K DUB SHINE(ケーダブシャイン)とDEV LARGE(デブラージ)のBEEFです。
当時、ケーダブもデブラージも好きだった私は二人のBEEFに衝撃を受けました。
HIP HOP業界でも大物の二人でしたからね。
そしてインターネットを使ってのリアルタイムの音源の応酬には大変興奮しました。
2chのHIP HOP板も相当盛り上がっていたのを覚えています。
ケーダブとデブラージのBEEFの原因
では、日本のHIP HOP業界に確固たる地位を築いていた二人が揉める原因となったのは何だったのでしょうか。
きっかけは2004/6/20の雑誌BlastでケーダブがバイリンガルラッパーをDisったことと、2004/7/14リリースのケーダブのアルバム『理由』の中にある『来たぜ』という曲の下記の歌詞がBEEFの発端となりました。
自分でやってるうち独自のヴィジョンを確かめたくて 書いた日本語
1年かけてやっとできた 人に聞かしたミュージックセミナー
そんとき初めて出会ったブッダ バトルはオレが完全に食った
そして、このリリックやコメントを受けて、小4からニューヨークで過ごしていたためバイリンガルラッパーであり以前からケーダブに対して思うところがあった、デブラージが下記のアンサーソング『ULTIMATE LOVE SONG』を突如発表。
インターネットで突然公開された『ULTIMATE LOVE SONG』は初めは誰の曲かわかりませんでしたが、フローや声色からDEV LARGEでは?と噂され、その後ラジオでDEV LARGE本人から自分の曲であることを発表しました。
そしてこの10日後にK DUB SHINEが『Ultimate Dis Song』で下記のアンサーを返します。
この『Ultimate Dis Song』のビートが当時流行っていたG UNITの『Poppin' Them Thangs』のビートでマジヤベー!!と友人たちと騒いでいたのを思い出します笑
ケーダブはこのアンサーソングで2004/7/14発売のアルバム『理由』のプロモーションも行います。
そして2004/7/1にデブラージも更なるアンサー『前略ケイダブ様』をリリースして、一応のラップでのBEEFは一応の終わりを迎えます。
当時はなんでケーダブはアンサーを返さないんだ!!
なんてリスナーの声が大きかったと思います。
『前略ケイダブ様』の内容が内容だけに弁明のアンサーを聴いてみたかった気もしますが・・・
ケーダブのアンサーである『Ultimate Dis Song』で自身のアルバムを宣伝していたので、デブラージも『前略ケイダブ様』でしっかりとプロモーションを入れてきています。
このBEEF騒動があって、ケーダブもデブラージもアルバムの売上が伸びたらしいのでプロモーション的には大成功でしょうか。
ただ、デブラージに関してはその後の雑誌のインタビューを読むとプロモーションではなく、ガチでK DUBにはムカついていたらしいことが分かります。
実際BEEFをしていたラッパー同士ではいろいろ思うところはあるのでしょうが、リスナーとしてはリアルタイムにDisとアンサーの応酬が見れて、しかも内容についてもいろいろと妄想を膨らませることが出来て、興奮しつつも楽しませてもらいました。
日本のHIPHOPもUSみたいに盛り上がってきた!!という感じでした。
インターネットの発達によってリアルタイムにアンサーが返せる状況にリアルタイムにイノベーションを感じていました。
ケーダブとデブラージ和解
2004年に起こった二人のBEEFですが、2013年に完全和解しています。
MAKI THE MAGICの追悼イベントの前日にばったり会った二人が直接言葉を交わし和解しました。
この和解時のエピソードを後に、ケーダブは『Maki君が天国から起こした奇跡』とコメントするなど感動的なエピソードとなっています。
流石に10年経てばいろいろな感情も変わってきますもんね。
デブラージの急な訃報
2人が和解したところまでは知っていましたが、それ以降はデブラージの話題を耳にすることはあまりありませんでした。
それが、2015年、つい昨年ですが、デブラージが死んだとニュースが流れました。
歳は45歳・・・
若い・・・若すぎます・・・
まだ、まだ曲を作ってもらって日本語HIP HOPのシーンを盛り上げてほしかったのに・・・
デブラージ訃報のニュースを会社のPCのyahooニュースでみたときは言葉を失いなにもする気が起きませんでした。
死因は明かされていませんが、2013年にも倒れたことがあったり、どんどん痩せていったりしていたことから病死であることは間違いなさそうです。
体の痩せていく様子から考えるとガンだったのでは?と言われています。
死因はなんであれ、日本語ラップ界の宝がなくなってしまったことは事実・・・
2013年に和解を切り出したケーダブも嫌な予感があったのかもしれません。
最後に紹介した曲はデブラージに捧げるHIPHOPの戦友たちからの曲です。
青春の1ページをありがとう。
R.I.P